悪質「撮り鉄」にJR東らが厳戒態勢
産経新聞ニュース
5~7日にJR水郡線(茨城県)の水戸~常陸大子間で
「SL奥久慈清流ライン号(C61)」が運行されるのを前に、
JRや地元自治体は、線路内に立ち入ったり無断で私有地からSLを
撮影したりする鉄道ファン「撮り鉄」に頭を悩ませている。
自治体から相談を受けた茨城県警では、運行を前に沿線の各警察署に対して
違法行為への取り締まり強化を指示している。
前回平成24年に、「震災からの観光復興」を掲げてSLが水郡線を運行した
前回平成24年に、「震災からの観光復興」を掲げてSLが水郡線を運行した
際には、線路内にカメラマンが侵入したり、踏切に立ち入ったカメラマンを
障害物検知器が感知するなどし、最大で約45分の遅れがでた。
また、自治体には「勝手に敷地に立ち入られた」や、「路上駐車が多くて渋滞が
起きている」といった苦情も数多く寄せられたという。
今回の運行を前に、11月27日に実施したSLの試運転の際には、
今回の運行を前に、11月27日に実施したSLの試運転の際には、
大子町下津原の山中から「煙が上がっている」という通報が町に寄せられ、
地元消防のポンプ車や警察が出動する事態に発展。町消防本部によると、
現場は水郡線の有名な撮影地で、SLの撮影に訪れたカメラマンが、
火をおこして食事をとっていたとみられるといい、町では付近に
「火気厳禁」の立て看板を設置したが、消防では「一歩間違えれば山火事にも
繋がりかねない」と気をもんでいる。
同29日に行われたSLの試運転に記者が同乗した際にも、
同29日に行われたSLの試運転に記者が同乗した際にも、
線路すれすれのJR敷地内に侵入して撮影するカメラマンを度々目撃したほか、
国道や農道には路上駐車の列ができ、渋滞が発生していた。
また、途中停車駅では、SLの撮影をしていた自治体やJRの関係者に、
ホーム上にいたカメラマンが「邪魔だからどけ。こっちは入場券を
買っているんだ」などといった罵声を延々と浴びせており、
JR関係者の失笑を買っていた。
平成20年には、神奈川県茅ケ崎市のJR東海道線の踏切で、
平成20年には、神奈川県茅ケ崎市のJR東海道線の踏切で、
列車を撮影していたカメラマンが、貨物列車と接触して死亡する事故が
起きているほか、常磐線でも21年に「207系」が引退する際に、
カメラマンが線路内に立ち入ったため、2度にわたって列車が緊急停止しており、
あるJR社員は「カメラマンと接触するなど、大きな事故が起きれば2度と
SLが運行できなくなる」と打ち明ける。
このような事態にJRや自治体では今回、警備人員を前回より200人
このような事態にJRや自治体では今回、警備人員を前回より200人
増やして延べ約1400人体制で警戒。路上駐車されやすい道路には
事前にカラーコーンを設置したり、侵入されやすい踏切には警備員を配置
したり警告板を設置している。
また、茨城県警地域課では、水郡線沿線の各警察署に対して、路上駐車などの
また、茨城県警地域課では、水郡線沿線の各警察署に対して、路上駐車などの
違法行為への取り締まりや、パトロールの強化を指示しているほか、
線路内への立ち入りに関しても、JRから被害の申告があれば
鉄道営業法違反(鉄道地内立ち入り)容疑で捜査するとしている。
茨城県交通対策室によると、「5日間行った試運転の際には、1日に数回は
路上駐車などのトラブルが発生し、警察の出動を要請している。
県警も協力的で、対応は前回よりもうまくいっている」という。
そもそも今回のSL運行は、観光振興を目的に地元自治体がJRに要請して
そもそも今回のSL運行は、観光振興を目的に地元自治体がJRに要請して
実現したもので、24年の運行の際には、沿線には3日間で約15万人の
観光客や見物客が訪れ、観光地や景勝地もにぎわったという。今回、
県や地元自治体は運行費として2千万円をJRに助成し、観光客の再来を
もくろむが、JRは、重量の重いSL「C61」を運行するために橋を改修
するなどしたため、数千万円規模の支出を行っている。仮に3日間の運行が大人で
満員だったとしても収入は乗車券と指定席券で約100万円と微々たるもので、
JRにとっては「大赤字」の事業だ。
JRでは「地元のみなさんのための運行で、採算は考えていない」と強調するが、住民とカメラマンとのトラブルも多く、一歩間違えれば大事故に繋がりかねない
JRでは「地元のみなさんのための運行で、採算は考えていない」と強調するが、住民とカメラマンとのトラブルも多く、一歩間違えれば大事故に繋がりかねない
ために戦々恐々としている。
産経新聞の取材に応じた「撮り鉄」の20代の男性は、「大抵の『撮り鉄』はマナーを守って楽しんでいるのに、一部のマナー違反者がいるだけで、
産経新聞の取材に応じた「撮り鉄」の20代の男性は、「大抵の『撮り鉄』はマナーを守って楽しんでいるのに、一部のマナー違反者がいるだけで、
『撮り鉄』のイメージが損なわれてしまっている」と現状を嘆くが、
地元住民から「撮り鉄」に対して一定のクレームが寄せられているのも事実だろう。
JR東日本水戸支社では「マナーやルールを守ってSLを楽しんでほしい。
JR東日本水戸支社では「マナーやルールを守ってSLを楽しんでほしい。
線路には近づきすぎないで」と呼びかけている。
守ろう!マナー。本当に電車を愛するのならば。
